2026.06.30
せとうち日記 2026年6月24日 《周縁にあるからこその夜間中学》
- #せとうち
第2章 夜間中学の成立と再編
ー「あってはならない」と「なくてはならない」の狭間でー
修士課程前期1年の森聡子です。今年度からせとうちに参加することとなりました。せとうちでは自分のゼミの時間だけでは話すことが少ない、専門以外の教育内容や、学習開発学の先生方・院生の方が集うので、より多角的に教育を考えるきっかけになるのではないかと考えています。また、同じ本を読んでいても自分の専門とする領域や視点によって捉え方が変わっていて、それを話し合うことで刺激をもらえる場になっているのではないかと思います。自分もそんなことができる人になれるように、頑張って本と戯れてみます!!☺
今回は『境界線の学校史ー戦後日本の学校化社会の周縁と周辺ー』木村元 (編) (2020) 東京大学出版の第2章を読み、議論をしました。第2章では、主に夜間中学校がどのような時代背景の中で成立しており、現代におよぶまで再編されてきたのかについて述べられていました。
今回議論の話題になったのは「形式卒業者」についてです。戦前では教育を受けることができなかった人々が当てはまることが多くありましたが、戦後には不登校や外国人児童・生徒も含まれることは珍しいことではなくなってきました。時代が変化するにあたって言葉の示す範囲も周縁化しているような気がします。
形式卒業者が夜間中学校で学び直すことは珍しくない、という事実に対して。形式卒業者には卒業証書が手渡されるため、社会的な目から見ても義務教育を受けた証になります。しかし、それでも学び直しをする理由は「学びの質に実態をもった卒業」をしたいという思いからなのではないかという話が出ました。もし自分が中学校での学習内容を全く知らないまま3年経ったから形式的に卒業だと言われたも、高校へ進学する自信は持ちにくいのかなと思います。そのため、「自認としての学び直し」を行うことで、社会の中で生きていく際に胸を張って一人前だと言い張れる自信や証明につながるのではないかと考えました。中学校の形式卒業者が高校進学よりも夜間中学校を進路の選択肢として挙げているのも同じ理由だと思います。
実際に文部科学省の夜間中学校に通う生徒の声を見ると、夜間中学校は「中学生の時間を取り戻す場」になっているという声があり、「基礎的な学力の保障」「卒業証書(資格)」「学校生活の保障」の3つがコアとなり、学校としての機能を果たしているが分かりました。
夜間中学校は一条校に対して、周辺なのか周縁なのか。3つのコアのもとに成立している学校ですが、「…夜間中学は文部省の教育体制からはみ出した『あるようでないようで、まったく不安定な状態』、いわばその周縁的性格によってはじめて差別からの可能性を持ちえた…。」(p.70)との記述が示すように、周縁化されているから成立している学校と捉えることもできるようです。
「あってはならない」と「なくてはならない」の狭間というものが本章のサブタイトルとなっていますが、形式的な卒業者を増やすべきではないが、だからといって中学生の時間を取り戻せる夜間中学校という場所自体を失くしてしまうのはまた違う話だと捉えることができると思います。まさしく周縁的な学校として存在していると考えられるでしょう。
長々と書きましたが、いろいろな角度からの疑問から多様な方向に話が広がっていくのが面白かったです☺
アイキャッチ画像は先日訪れた海の写真にしてみました。空、海、波、水面、砂浜などなど、綺麗な風景として見ることができますが、どこまでが波打ち際?どこからが砂浜?などと考えたりすると、これも周辺・周縁につながるのではないかなと思いました。
今後も頑張って読んでいこうと思います🔥